「……そっか、分かった。」
何も返す気力も起きなくて、自分の部屋に戻った。
……誰も分かってくれなかった。
言わない私も悪いけれど、でも、これだけはあまり口に出したくない。
言うだけで自分の惨めさが増すし、後ろめたくなるのだ。
人というのは、同じことを繰り返して言っていると何となく罪悪感が湧くものらしい。
特に自分が弱い立場にある時は。
ベッドに腰掛けると、ラケットが目に入った。
……いらない、壊してしまいたい。
あんな目に遭うくらいなら、もうテニスだってやりたくない。
言葉にならない叫びたかった。
泣きたかった。
だけど、言葉も、涙も出ない。
ただ、獣のように呻くしか出来ない。
どうしようもなく心が痛い。
何に対して叫びたくて泣きたいのか、よく分からない。
だけど、感情を爆発させたい。
出来ない。
自分の気持ちを持て余して、窓の外を見た。
いつもと変わらないはずの月なのに、異様に青白かった。
「……同じじゃん、私……。」