次の日の放課後、担任の先生に呼ばれた。
結子達はにやにやしていたけれど、そんな楽しいものではない。
もう連絡したのかと驚きつつ、先生のあとを着いて行く。
「どうぞ、富木島さん。
座って。」
「……失礼します。」
通された場所は面談室だった。
「ごめんなさいね、急いでいるかもしれないのに。」
「いえ、大丈夫です。」
部活に行かなくて済むと思うと嬉しくて仕方ないです、と心の中で付け加えてしおらしい表情を作る。
「……ええと、お母さんからお話を聞きました。」
「……そうですか。」
「具体的に聞きたいんだけど、うちのクラスのテニス部の人とはどうなの?」
「……微妙ですね。
どこか、ふとした時に距離を感じるというか、別に何かされるって訳でもないんですけど、気を遣われすぎている気はします。」
「……なるほど。
では、他のクラスの誰が、どうなのでしょうか?」
先生は、『いじめ』という言葉を使わなかった。