季節はいつの間にか秋から冬に移り変わろうとしていた。


制服も、セーターやジャケットを着込んで授業を受けている。


あれ以来、私への風当たりは明らかに強まっている。


挨拶を無視なんて序の口だった。


この前は、教室中に響き渡る声で保坂さんに「富木島さーん!」って呼ばれたし、またある時は同級生全員が見ている前で渋谷さん(凛ちゃん)が「どうしてランニングの前にトイレに行くの?」と聞いてきたし、この前は進藤さんが私の休む理由をいちいち問い質してきた。


もはや、誰もがこの状況を楽しんでいた。


テストも上手くいかなくなってくるこの頃は、私は丁度いい憂さ晴らしの存在だったのだ。


実際、私も前回のテストは散々だった。


部活を休む理由や、疲れが重なって授業もあまり聞けていなかった。


さすがにお父さんとお母さんに怪しまれた。


成績は特別良いわけではなかったが、ここまで下がったことは驚いたらしい。


「次は頑張るから」とかいうようなことを言ってその場は収めた。