隣で待っている先輩は私をどう思っているのだろうか。
とんでもない変な後輩が入ってきたとでも思っているかもしれないし、心配してくれているかもしれない。
こんな状況になってからまだ一ヶ月経つか経たないかというくらいなのに、もう弱気になっている自分が嫌だ。
「並んでー!」
高二の先輩が呼んだことで全員が集まった。
相変わらずものすごい人口密度だ。
全校集会をやる時の体育館の一部を切り取ってきたかのような人の多さだ。
部活を中高一貫でやるという方針のこの学校では、テニス部はかなり多い。
もう引退した先輩も合わせたら80人くらいいる。
だから、一年生はあまり打てない。
仮説のコートやネットを付けた木に向かってボールを打つくらいしか出来ない。
それでも、他校よりは打つ回数も多いから、文句は言えない。
練習が始まって最初がいちばん苦痛だ。
二人一組で打ち合わなければならない。
仲の良い友人のいない私は、当然奇数の時には一人になる。
今日は偶数だから相手がいるけれど、幽霊部員になりかけている子がいるからこの立場もそろそろ危うい。
ほかのペアは楽しそうに打っているのに、私達の所だけは空気が澱んでいる。
目の前でボールを打つ由奈ちゃんは不満げに見える。