「大丈夫だよ、今入ってきた玄関の近く、リビング出て、すぐ左だよ」

「ありがとう」


終始笑顔で話すイケメン。
あぁ、もうそんな笑顔、信用できなくなってきた。

あぁ、もう全てが胡散臭い。

言葉には出さないが、これは心理戦のような気がした。

隙を見せた方の負けだ。

お手洗いを借りようと、あたしはリビングを出る。…もしかしたらこのまま逃げられるんじゃ…。


あたしは、こっそり玄関に近づき、鍵を開けようとするが、鍵は、内側からパスワードを入力しなければ開かないようになっていた。

…は!?


なにこれ、

…っもう完全に犯罪の匂いがしてきた。

恐怖が支配する。



あたしは玄関へ行ったことがバレないよう、トイレへ入った。