―春はまだだろうか。
テレビもない、新聞も来ない僕の部屋では気象はもちろん、今現在の世界情勢もその日のロードショーは何と言う映画かも、僕は知れない。そんな寂れたアパートの扉を開けるまで、この寒さを凌ぎながら僕は曇り空の下を歩いた。