「さぁ、お腹空いたでしょう? 何食べたい? それとも、記念に外食しましょうか? あ、今からタクシー呼んでマクドナルドでも行く?」
最後の方は笑い声が混じっていた。
「チキンフィレオのセット?」
僕も恵を見た。僕の言葉に笑顔はなおさら広がった。
「いや、久々に恵の料理が食べたいな」
「よし、じゃあ上がってきて。あと、今日は食器が乾くまで待とうかしら」
「待ってたら朝になっちゃうよ?」
「いいわ、覚と一緒にいるから」
僕も笑った。あの頃のように、うまく笑えてるかなんて考えなくてももう良かった。