優奈の…その気持ちだけで十分だよ。


隼人の苦しむ姿なんて…もう見たくない。

わたしが隼人に会わなくて、それで隼人の記憶が戻るなら、わたしは喜んでその通りにする。


…それに。

もし記憶が戻ったとしても、果たしてそれはいい思い出だけとは限らない。


記憶を失くして、大好きなサッカーに支障が出るような大怪我を負わせてしまったのは…わたし。

記憶が戻ったあとに、わたしを恨んだっておかしくはない。


だから、隼人のご両親が会わないでと言うのなら、わたしはそれに従うまで。


そのことを優奈に話したら、優奈も渋々納得してくれた。


「…でも、隼人がかりんのことを恨んでるなんて、そんなこと絶対にないんだからねっ!」

「そうだぞ、かりん。お前が一番、隼人のこと理解してるだろ。あいつは、そんな男じゃねぇよ」