「隼人は、…俺のことさえも覚えていない。中学から知り合った優奈や…、かりんのことはなおさらだ」


そのカズの言葉を聞いて、ようやくわたしの頬に一筋の涙が伝った。


『…だれ?』


隼人のあの言葉は、夢や幻なんかじゃなく――。

…現実なんだって。


本当に隼人は、…わたしのことを忘れてしまったんだ。



「…ごめん、かりん。こんなつらい話聞かせて……」


なぜか、わたしに謝るカズ。

泣きたいのは、カズだって同じなのに。


「わたしは…。大丈夫…だよ」


口から勝手に、そんな言葉が出た。


…本当は、大丈夫なわけない。

苦しくて苦しくて、胸が張り裂けそうでっ…。


大声を上げて泣きたいくらい、悲しくて…悔しくて……。


だけど…こんな事態になってしまったのは、少なくともわたしも関係しているから…。