ただただ、目の前のカズと優奈のやり取りを呆然として眺めることしかできなかった。
テレビを見ているような感覚で、いまいち…現実味が湧かない。
「記憶喪失って…どういうこと!?自分のお父さんとお母さんのことは認識してたよね!?」
「…ああ。記憶の一部が思い出せないだけで、すべてを忘れたわけじゃない」
「“一部”って、どこの部分…!?事故の日の記憶…!?」
前のめりになる優奈。
信じられないのは、優奈だって同じだった。
「…詳しくは、今後の経過によるみたいだけど……。今わかっている段階では…」
そこまで言って、カズは口をつぐんだ。
唇を小刻みに震わせて、まるでなにかを堪えているように見える。
わたしと優奈は、黙り込んでしまったカズを前にして、目を合わせる。
…わたしも優奈も悟ってしまった。
テレビを見ているような感覚で、いまいち…現実味が湧かない。
「記憶喪失って…どういうこと!?自分のお父さんとお母さんのことは認識してたよね!?」
「…ああ。記憶の一部が思い出せないだけで、すべてを忘れたわけじゃない」
「“一部”って、どこの部分…!?事故の日の記憶…!?」
前のめりになる優奈。
信じられないのは、優奈だって同じだった。
「…詳しくは、今後の経過によるみたいだけど……。今わかっている段階では…」
そこまで言って、カズは口をつぐんだ。
唇を小刻みに震わせて、まるでなにかを堪えているように見える。
わたしと優奈は、黙り込んでしまったカズを前にして、目を合わせる。
…わたしも優奈も悟ってしまった。