…え……? 

隼人が、記憶…喪失?


その言葉に、一瞬にして頭が真っ白になった。

どう反応していいのかもわからない。


わたしの脳裏には、隼人の笑った顔しか思い浮かばない。

だから、突然そんなことを言われても…信じられるわけがない。


しかし、カズは悔しそうに視線を落とす。


「…は?嘘…でしょ?…ほ、ほら!だって今日、エープリールフールだしっ…!」


とは言うものの、さすがの優奈も表情がこわばっていた。

まるで、信じたくなくて自分に言い聞かせているようだった。


――エープリールフール。

そうだっ…、今日は4月1日。


嘘をついても許される日。


…そう思いたかったのに。

優奈の言葉に、カズは首を横に振った。


わたしは、なにかに喉を締められているかのように、声を出すことができない。