冷静に見えるけど、本当は後ろにいる隼人のことが気がかりで仕方ないといった様子だった。


「きょ…今日はもう帰ろう。なっ!優奈、かりん」

「…そ、そうだね!」


優奈も隼人の突然の異変に呆然と立ち尽くしながら、カズの問いに答える。

わたしも黙ってうなずくしかなかった。


わたしたちが病室の外へ出ると、ちょうど看護師さんを後ろにつけた病院の先生が隼人の部屋に入っていった。

看護師さんは、わたしたちに目を向けることもなく、すぐに病室のドアを閉めた。


静かな廊下にまで、隼人が中で苦しむ声が漏れていた。


わたしは思わず両手で耳を塞ぎ、その場から逃げるように立ち去った。



「かりん、少しは落ち着いた…?」

「う…うん。ありがとう…」


病院のロビーで腰掛けながら、わたしは優奈から紙コップに入った温かいココアを渡された。