まとう空気もどこか柔らかくて、春の日差しを背中に受けて、爽やかな印象だ。


そんな男の子が、困ったように眉を下げている。


「ご…ごめんなさい!全然気づかなくて…!」


てっきり、他のだれかに声をかけているものかと…。


「…ああ、それはいいんだけど。席……」

「席…ですか?…ま、前の黒板の紙に書いてありますよ?」

「うん、そうなんだけど…」


そう言ってその男の子は、気まずそうに頭をかく。


「そこ…、俺の席なんだよね」


…え?


わたしは、ポカンとして瞬きを繰り返す。


「もしかして…広瀬さん?それなら、この隣の席だよ」


そう指摘され、徐々に赤くなるわたしの頬。


ちゃんと確認したはずなのに、わたしったら…席を間違えてる!?


もう…恥ずかしくて恥ずかしくて、そのあとのことはあまり覚えていない。