あの日、…家を出るときのお母さんとの些細な会話。


わたしがもっと気をつけておけば、こんなことには…。



隼人は右脚を骨折していて、意識不明の重体。

どうなるかは…、まだわからないらしい。


わたしは、生きている心地がしなかった。


もし…。

もし、隼人が死んじゃったら――。


わたしが隼人の命を奪ったことになる。


そんなことを考えるだけで、後悔で押し潰されそうになり、涙があふれる。


一刻も早く、隼人の目が覚めますように。


しかし、無事に目覚めたとしても、サッカーに大切な利き脚の骨折…。


どちらにしても、わたしは隼人から大切なものを奪ったことに変わりはなかった。


隼人には…きっと恨まれることだろう。


…でも。

嫌われたって軽蔑されたっていいから、隼人が回復してくれさえすれば……それで。