「…無理しないで!まだ安静にしてなきゃダメ!」


お母さんがわたしを抱き起こし、再びベッドに寝かせる。

掛け布団をかけられて、少しだけ落ち着きを取り戻した。


「今行っても、…隼人くんには会えないわ」

「…どうして?」


わたしの問いかけに、お母さんは視線を落とす。


「隼人くん…まだ意識が戻らないの。面会謝絶で、親御さんですら会えないらしいわ…」

「そんなっ……」


お母さんの言葉に、わたしは息を呑むことしかできなかった。


隼人と待ち合わせの駅に向かって、わたしはただ歩道橋を渡っていただけなのに――。

気がついたら、それから2日後にタイムスリップしていた。


わたしに向かって手を振ってくれた隼人は、…未だに意識を取り戻さない。

すべてが唐突すぎて、なかなか自分の頭で状況を理解することができなかった。