いつものように家を出て、待ち合わせ場所の駅に向かっていて――。

隼人がわたしに気づいて、道路の反対側から手を振ってくれた。


それで…、それで……。

…わたし、隼人に会えたんだっけ……?


歩道橋を上ったところまでは、なんとなく覚えている。


でも、そのあとが…。


すると、お母さんがそっとわたしの両肩に手を添えた。


「…かりん。男の人に、歩道橋の階段から突き飛ばされたのよ…」


そのお母さんの言葉に、そのときの記憶が一気にフラッシュバックされた。


…そうだっ。

駅前で待つ隼人のところに向かうために、歩道橋を渡っていて――。


突然聞こえた女の人の叫び声のあとに、男の人が慌てて走って行くのを見た。


その男の人が、わたしが下りようとしていた歩道橋の階段を駆け上がってきて…。