まるで自分の体じゃないみたいに、体が重くてだるい。


なんでわたし…、こんなところに……。


ただ、ぼんやりと天井を眺めることしかできなかった。



しばらくすると、メガネをかけた男の先生がお母さんといっしょに入ってきた。

わたしの顔や体のあちこちを見たあと、先生はゆっくりと微笑んだ。


「もう大丈夫です。安心してください」


その先生の言葉に、お母さんはまた涙を拭った。


「…そうですかっ。ありがとうございます…!」

「数日で退院できるでしょうから、それまで安静にしてくださいね」


先生はわたしの頭を優しくなでると、看護師さんといっしょに病室から出て行った。


「…ねぇ、お母さん。…わたし、なんで病院なんかにいるの?」


先生を見送って、わたしに背中を向けるお母さん。