体が…宙に投げ出される。


「…隼人っ……」


手を伸ばした先には、真っ青な顔をして歩道橋の階段を駆け上がろうとする隼人の姿が見えた。


「かりんー!!」


最後に、隼人の叫び声が聞こえて――。

わたしは意識を失った。



規則的な機械音。

ツンと鼻にくるアルコールの匂い。


「…ん……」


ゆっくりと目を開けると、真っ白な天井が視界に入った。


ここは…。


「…かりん!かりんっ!!」


わたしを呼ぶ声が、ぼんやりと聞こえる。

もしかして、隼人――。


「…よかった。目が覚めて…」


目を向けると、安堵したような表情のお母さんが横にいた。


「お母…さん……?」


なんで…泣いてるの?


お母さんがなぜ涙を流しているのか――。

このときはまだわからなかった。