「お母さん!変じゃないっ!?」


朝食を食べ終わると、キッチンで洗い物をするお母さんの元へ。

そして、制服姿のままその場でくるりと回る。


「変じゃない、変じゃない。だから、早く行ってきなさい」

「はーい!」


元気よく返事をすると、わたしはリビングの隅にある棚の前に向かった。


「どう?なっちゃん。似合ってる?」


春の心地よい陽が差し込む棚に飾られているのは、1枚の写真。

写真には、笑顔で微笑む制服姿の女の子が写っている。


この人の名前は、広瀬夏美(なつみ)

わたしのお母さん、広瀬千春(ちはる)の実の妹。


わたしは、親しみを込めて『なっちゃん』と呼んでいる。


――だけど。

なっちゃんはもう…この世にはいない。


ちょうどわたしが生まれる頃に、病気で亡くなってしまったんだそう。