それに続くように、次から次へ涙があふれ出す。


「…ほら、見ろ。言わんこっちゃねぇ」


指で払っても払っても、拭えない涙。


「こんな…触れたら壊れそうなかりんを、学校に戻せるわけねぇだろ」


わたしはただ静かに泣き声を上げるだけで、カズの言葉になにも返せなかった。

だけどカズは、そんなわたしに優しい言葉をかけてくれる。


「かりんは、なにも悪くない。隼人がケガをしたのも、記憶を失くしたのも、すべては大切なかりんを守るためだった。隼人は、なにも後悔なんてしてねぇよ」

「うっ…うん」

「隼人が必死になって守ったんだから、いつまでもうじうじなんてしてたら、隼人が悲しむぞ?」


カズがそう言ってくれて、少しだけ気持ちが軽くなった。

隼人のお母さんに言われてから、心につっかえていたなにかが取れたような気がした。