『…そう。元気そうでよかったわ』


と、声をかけてくれた隼人のお母さん。


あのときはああ言ってくれたけど、隼人がまた記憶を失くすかもしれない原因がわたしと知って、わたしの存在すらこわくなったのかもしれない。


今度は、自分たち家族の記憶がなくなるんじゃないか。

そう考えたら、余計に…。


「隼人にとって、あなたは大切な存在だったのかもしれない。…でもそれは、もう過去のこと。今のあなたは、隼人の記憶を脅かす存在でしかないの」


わたしのせいで、隼人がまた記憶を失くす…。


「突然、取り乱してしまって…ごめんなさい。だけど、これでわかってくれたかしら…。隼人のことを思うなら、もう二度と…隼人には近づかないで」


苦しいくらいに、痛感させられた。

今の…わたしと隼人との関係を。