「和成くんを責めているわけじゃないの。もし、どこかで隼人と会うようなことがあれば、また仲よくしてやってね」

「…はいっ!」


カズの返事を聞いて、安心したように頬を緩める隼人のお母さん。


「ただ…」


しかし、そうつぶやいて、次にわたしに視線を移したときの表情はとても険しいものだった。


「…広瀬さん。あなたにはきてほしくなかった」

「え……」


春とは思えないほどの冷え切った風が、わたしと隼人のお母さんとの間を吹き抜ける。


「あなた…、自分の立場を理解してるのかしら?」


その言葉に、ハッとする。


隼人にもう会えないかもしれないと思ったら、居ても立っても居られなくて――。

慌てて学校を飛び出した。


だけど、わたしの立場って…。


「…隼人にケガをさせたのは、だれのせい?そのせいで…隼人が記憶喪失になったのは、だれのせい?」