まるで初対面の人を前にするような接し方の隼人に、本当のことを切り出せるわけがなかった。


「うれしいな。最後に友達に会うことができて」


そう言って、微笑む隼人。

久々に見る隼人の笑顔だった。


「…先生から聞きました。本当に…転校するんですか?」

「はい。俺の記憶はいつ戻るかわからないし、俺が事故にあったこの街にいるのは、母さんがつらいみたいで」


…そうか。

隼人のお母さんやお父さんの気持ちの整理のためにも、この街にいるべきではないのかな…。


「あの…、事故って……」


その事故のきっかけを作ってしまったのは、今目の前にいるわたし。

わたしが、隼人から記憶を奪ってしまった。


だから、最後に謝りたい。

だけど、陰ながら隼人の回復を願いたい。


そう伝えたかったのに――。