「…あっ、その制服!もしかして、壱葉中学の人ですか?あっちにいる人も」


隼人は、遠くのほうで待っているカズに視線を向ける。


「そ…そうですっ」

「やっぱり〜!俺もこの前まで、その中学に通ってたみたいなんですけど…。事故で記憶を失くして…」


寂しそうに視線を落とす隼人。


自分が記憶をなくしていることを理解して、受け入れているんだ。

前はすぐに混乱してしまったけど、そんな様子もない。


「…そういえば、さっき俺の名前…呼んでくれましたよね?」

「は…はい」

「ということは、中学の俺の友達…ですか?」

「…そうです。クラスメイトでした」


でも、…ただのクラスメイトじゃない。

毎日、ずっといっしょにいた仲のいい友達。


それに、わたしはあなたの彼女です。


――なんて言えたら、いいのだけれど。