そう言って、満足そうに微笑むカズ。


壁にもたれかかって腕を組むカズを残し、ゆっくりと隼人のもとへ向かった。


隼人を近くで見れば見るほど、久しぶりに会えた隼人に胸の鼓動が速くなる。


右脚のギプスはそのままだけど、頭の包帯は取れたんだ…。

髪も少し伸びている。


その後ろ姿は、わたしの知っている隼人のままで、少しだけ安心した。


「隼…人……」


わたしは小さく名前を呼ぶと、隼人がくるりと振り返った。


わたしの知っている隼人の後ろ姿――。

しかし、キョトンとした顔を見せる隼人の表情を見ると、どこか隼人が…別人のように感じてしまう。


「俺のこと…知ってるんですか?」


首を傾げて、わたしに尋ねる隼人。

その言葉に、胸がチクッと痛む。


どうやら隼人は、一度わたしが病室に行ったことも覚えていないようだ。