せっかく2人が協力してくれたのに、最後に隼人に会うことができなかった…。


わたしは涙を堪えながら、病室の窓から見える空を見上げた。


空は、わたしの心の中とは正反対に、雲一つなく澄み渡っている。

皮肉なくらいに美しい。


空を飛ぶ鳥も、2羽仲よく戯れている。


わたしと隼人がああしてまたいっしょになることは、――もうない。


窓から入る心地よいそよ風が、そっとわたしの頬をなでる。

そのそよ風に乗って、ぽろりと流れる涙の雫。



「…かりんっ」


ふと名前を呼ばれて振り返ると、まだ呼吸の整っていないカズが病室に入ってきた。


「隼人は……?」


そう聞いてはみたけど、わたしの顔を見てすぐになにかを察したのか、黙って隣にきてくれた。


「…言葉は交わせなくても、せめて最後に一度だけ…隼人の姿を見たかったな」