もし、お母さんが話したくないことなら、べつに無理して聞くつもりはない。


わたしはお父さんがいなくても、お母さんだけで十分幸せだから。


それは、本心だけれど――。

やっぱり優奈の両親を見ていたら、少しはうらやましくなったりもする。


お父さんがいたら、小さい頃に肩車してくれたのかなぁ、とか。

休みの日は、海やキャンプに連れていってくれたのかなぁ、とか。



教室に戻ると、さっそく優奈がわたしの席へやってきた。


「かりん〜!今年の誕生日プレゼント、なにがいい?」

「誕生日…!?気が早いよ、優奈」


入学式後の休み時間になんの話かと思ったら、わたしの誕生日プレゼントについてだった。

今年も忘れないでいてくれたことはうれしいんだけど、べつに今じゃなくても。


わたしは思わず苦笑い。


「かりん、もうすぐ誕生日なの?」