「す…すみません!すぐに並びます…!」


わたしは先生にそう言って、廊下に向かおうとした。

――そのとき。


「なに言ってんの、かりん」


優奈がわたしの手をつかんだ。

驚いて目を向けると、じっとわたしのことを見つめていた。


「ここで会いに行かなきゃ、もう隼人とは会えないかもしれないんだよ…!?」


そう、わたしに訴えかける優奈。


「それは…わかってる。でも、時間が…。始業式が終わってからじゃ、とてもじゃないけど間に合うわけ――」

「優先するのは、始業式なんかじゃないっ。隼人だよ!」


がっちりとわたしの手首をつかむ優奈の手は、…小刻みに震えていた。


そして、優奈は隣に立つカズと視線を合わせる。

カズも優奈と顔を合わせ、コクンとうなずいた。


「隼人に会えないままで、かりん…後悔しない?」