できることなら嘘であってほしいと思っていた。


でも、カズから直接そう言われると、嫌でも認めざるを得ない。


「もしかして、カズ…。さっき…」


わたしは、ぼんやりとつぶやいた。


『さっき』とは、担任の先生が教室に入ってくる直前――。


『…あのさ、かりん』

『ん?どうしたの?』


わたしになにかを言いかけたカズ。

だけど先生がきたから、またあとでと言ってカズを席に戻した。


「もしかして、このことを話そうとしてくれてたの…?」

「…ああ」


そっか…。

カズが隼人のことで、わたしたちに隠し事するはずないよね。


「あのときに、先にカズの話を聞いておくべきだったね。ごめんね、カズ」


そうであれば、先生の話を聞いてこんなに驚くこともなかった。


「…いや。オレも話すのが遅くて…ごめん」