退場するとき、保護者の席に座っているお母さんを見つけた。

手を振ってくれていて、わたしもそれに笑って応える。


お母さんの隣には、優奈の両親も見えた。


「相変わらず、かりんのお母さんってキレイだよねー!」


体育館を出てすぐ、列を崩して優奈がわたしの隣にやってきた。


「そう…かな?でも、お母さんに言ったら喜ぶよ」

「だって、まだ30代でしょ?」

「うん。今年で、34…だったかな?」

「わっかーい!あたしの親なんて、もう50だよっ?」

「優奈は、上にお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるじゃん」

「そうは言ったって、やっぱり若いパパとママがよかったな〜」


若いパパとママ…か。


お母さんは、わたしを21歳のときに産んでいる。

だけど、…わたしにお父さんはいない。


お父さんの話はこれまでされたことはないし、多少なりとも気にはなるけど…。