「隼人が転校するなんて、あたし…聞いてないんだけど!」


優奈に体を揺すられて、ようやく我に返る。

上の空だったわたしを見て、優奈が顔を覗き込んでくる。


「その感じだと…。…もしかして、かりんも今知ったの…?」

「う…、うん…」


暗いわたしの返事に、肩を落とす優奈。

この場の雰囲気だけが、妙に重かった。


そこへ――。


「ちょっといいかな」


頭から声がして見上げると、カズが立っていた。


「…カズ!あんたなら、なにか知ってるんじゃないの!?」


胸倉をつかみそうな勢いで、優奈がカズに詰め寄る。

カズは、少し気まずそうに目を背けた。


――カズ。

なにか知ってるんだ。


「…かりん、優奈。先生がさっき話してたことは…本当だ」


カズは、そう断言した。


先生の話…。