『ただいま…』


いつもなら『おかえり』がすぐ返ってくるのに、今日はその変わりに凄まじい足音が近付いて来た

『…望』
お母さん…
目を合わせないで

『ただいま』

と言った

『望今までどこに行ってたの?学校の先生から電話が来て』

心配なんてしてないくせに…

『どこだって良いでしょ』


階段を登って部屋に行った。
大きな鞄に入るだけ服と下着を詰め込んで部屋を出た。


階段を降りたらお母さんとお父さんが居た


『望、今までどこで何をしてた』

『……』

『皆心配してたんだぞ!!学校だって…お母さんの顔に泥を塗る真似をして…』
そぉ、アタシの学校はお母さんの母校。歳の離れた姉二人も一緒…

『……関係無いでしょ』

玄関で靴をはいて外に出ようとした瞬間



バサッ


っと音がして
アタシの頭の上から

札が何枚も降ってきた



唖然とするアタシは両親を振り返って見た


アタシの周りには万札が大量に散らばっている


『その金でもう二度と家に帰って来るな。出来損ないの…恥じ去らし者が…』

お父さんは一言言っていなくなった。


お母さんも、お父さんの後に着いていなくなった。


アタシは札に囲まれ

唇を噛み締めて涙を飲み込み外に待たせてあるタクシーに乗り込んだ