「っ__!!」

脳裏に響いた言葉に全身で反応してしまったらしい目覚め。

一瞬の放心状態からすぐに夢だと冷静な答えが降ってくる。

降って……来るけど……。

夢に見る程トラウマになってるな…。

目覚め一発から頭を抱えて、はぁぁぁと重苦しい溜め息を吐きながら未だ早鐘を打っている心臓を宥めていく。

あれは夢、あれは過去。

いや、過去というにはまだ日が浅すぎるが。

浅すぎるが故にまだ悪夢としてこうして効果を発揮しているのか。

彼女との再会から罰を与え合った期間は2週間。

翌日になって全ての記憶が飛んでいた彼女には本当に殺意すら疼いた気がする。

でも、何も覚えていないならそれを逆手に、彼女の方を追い詰めて追い込んで仕返しをしてやろうかと悪い心が疼いて。

彼女との約束最低限、ギリギリの線を保って過度な抱擁で困らせて悶えさせて。

何も覚えていない彼女からしたらどれだけ突飛で酷い男であったのか。

甘やかすだけ甘やかしてスルリと手放して。

それが『罰』だと自分の罰はひた隠しに苛め抜いて。

でも…そんなのも結局は諸刃の剣。

結局は自分の首も日に日に絞まって苦しくなるのだ。

罰は罰。

でも、そんな煩わしい関係を解消しての更に一週間。

気怠い体をベッドから起こせば他の感覚も順々に覚醒していくもので。

不意に鼻孔を擽る匂いには思わず胃が反応してキュウっと鳴るほど。