「たっくん…」
「ん?…っ、」
ゆっくりと上昇していた観覧車が頂上に到達した瞬間。恥ずかしいと思っていたはずなのに、唇を重ねたのは…私の方からだった。
もしも今、あの日に戻れたら…
私は小さな私に教えてあげたい。
『呑気に外ばかり見てないで、すぐ目の前にある大切なものに早く気付いて!』…ってね。
このキスは、“ありがとう”と“大好き”のキス。
幼い頃から変わることなく私に優しい愛情を注いでくれるたっくんへ、感謝と愛を込めて。
「私もずっとずっとたっくんが大好き、だよ…」
唇が離れたとき、伝えたのは精一杯の気持ち。
私の目に映ったたっくんは夕陽に染まっていて…心なしか頬も少しだけ赤く染まっているような気がした。
「あのさ、不意打ちはやめて?心臓止まるかと思った…」
「だってたっくんが愛しくて無性にチューしたくなっちゃって…」
「いや、そんな可愛い発言もやめて?もっとチューしたくなるから」
恥ずかしそうに両手で顔を覆うたっくんは、いつもの余裕綽々なたっくんとは違っていて。
それがなんだか可愛くて、余計に愛しくなった。
結婚する前に戻ったみたいな、甘い甘い恋人ごっこ。キュンとして擽ったくてすごく幸せだったけれど…