「ど、どうしたの?こんなにくっついてたら狭いよ?」
「え?でもくっつかないとキスできないし」
「キッ…!?こ、ここ外だよ?」
「観覧車の頂上でキス。これはラブラブカップルの定番でしょ」
たしかに今日は恋人ごっこだし久しぶりの二人きりのデートだけど…こんなところでキスだなんて、そんな…
なんて慌てる私をよそにたっくんは私の肩をグイッと引き寄せて。
「朱里…実はあの日、最後に乗った観覧車の中で本当は言いたかったことがあって」
「え…なに?」
そのまま私の耳にピッタリと唇をくっつけるようにして、たっくんが甘く囁いた言葉。
「朱里が好きだよ。今までも、今も、これから何年経ったってずっとずっと大好き」
「…っ」
「そう言いたかったのに言えなかったことが、あの日の唯一の心残りだったから…」
耳元に熱を残したまま離れた唇。
あの日あの時、たっくんが言えなかった想いは何年かのときを経て今、私の心の奥底まで伝わった。
ポカポカと温かくなった気持ちを、どうにか伝えたくて…