係のお姉さんに誘導されて乗り込んだ観覧車のゴンドラ内。
然程広くはないその空間で、たっくんと向かい合うように座るとすぐに視線が重なった。
自然と微笑み合えば、なんだか懐かしい気持ちでいっぱいになる。
「朱里覚えてる?子供の頃、家族ぐるみで遊園地行ったこと」
「うん、行ったよね。たしか…小学3年生の時だっけ?」
「そうそう。あの時の俺、絶叫マシーンに夢中な朱里に付き合った結果フラフラになっちゃって。あれはダサかったなー」
ゆっくりと観覧車が動き出したのと同時に、蘇ってきたのは遠い日の記憶だった。
あの日の私も、今よりうんと小さいたっくんの手を引っ張って何度も何度もジェットコースターに誘ったりして。
見兼ねたお母さんに、
『連続だとたっくん疲れちゃうから休ませてあげなさい』と言われても『嫌だ』と駄々を捏ね続けて。
困り顔のお父さんに、
『じゃあお父さんと一緒に乗ろう』と言われたって、『たっくんとじゃなきゃヤダ!』って泣き喚いてますます困らせた。
今になって思い返してみると、なんて我儘な子供だったんだと自分でも思うけれど…