ーーー翌朝。
目を覚ました私がいたのは、視界いっぱいに広がる真っ白な世界だった。
そこは甘くて、優しくて、温かくて…大好きな香りが漂う幸せな場所。
「…スー、スー…」
心地いい世界で鼓膜を揺らすのは、気持ち良さそうな寝息。
それから、トクン、トクン、と規則的に聞こえてくる胸の音。
その音達で、漸く思い出す。
ここが…たっくんの腕の中だ、ということを。
「そっか…あっくん、いないんだっけ…」
ポツリ、呟いた私は寝起きでボンヤリとした意識の中、目の前の真っ白なTシャツに顔を埋(うず)めた。
「いい匂い…だなー…」
起きてすぐに旦那さんのシャツに顔を擦りよせ、匂いを嗅ぐ姿はどんな風に映るのだろうか。
変かもしれないけれど…これがたまらなく幸せなんだ。
「…スー、スー…」
「可愛い…」
眠ると一気に幼くなる顔は、言わずもがなあっくんの寝顔にソックリで。
私の頬を緩ませるのには充分すぎた。