「あっくん、動物園に持って行くお弁当、何入れようか?」
「んーっとねぇ…玉子焼きとウインナー!」
「よーし。じゃあ玉子焼きはハート型、ウインナーはタコさんにしちゃおっか」
「わーい。やったー!」
朝から無邪気にハシャぐあっくんに癒されながらキッチンでお弁当の準備に取り掛かる。
ふと浮かんだのは、実家にいる母の顔だった。
お母さん、いつも美味しいお弁当作ってくれてたな…それに、家事も完璧にこなしてた。
そんな母を見て育ったからこそ、あっくんが産まれたとき、私は不安でいっぱいだった。
お母さんみたいにちゃんとした母親になれるのかな、本当に大丈夫なのかなって、そんなことばかり考えて。
だけどそんな不安を取り除いてくれたのは、やっぱりたっくんだった。
育児も家事も協力的で、いつも私を労ってくれる。ありがとう、と感謝の言葉もくれる。
“ありがとう”ってすごく不思議な言葉だと知った。
言われると嬉しくなって頑張れる。
こんな私でもちゃんと母親としてやれてるんだと自信をくれる言葉でもある。
そんなたっくんのおかげで一人じゃなく、私達二人であっくんを守っていくんだと前向きになれたんだ。