「あ、パパだ!おかえりー」
「朱里、歩夢、ただいま」
帰宅したたっくんはリビングに入ってくると、仕事をしてきたとは思えないほど眩しい笑顔のまま私とあっくんの頭を交互にポンポンする。
そして、ネクタイを緩めると不思議そうな表情を浮かべて私の顔を覗き込んだ。
「朱里、顔色悪いけどどうかした?」
「えっ?」
「それに最近あんまりご飯も食べてないし…具合でも悪い?」
「え、えっと、…」
相変わらずたっくんはいつだって私のことを見ていてくれるんだ。
こんな風にいつもと違うところがあればすぐに気付いてくれるし。
赤ちゃんのこと、ちゃんと病院で診てもらってから報告しようと思ってたけど…今すぐ言いたいかも。
「朱里?」
「…あ、平気だよ!すぐにご飯の用意するから待っててね」
とはいえ、あっくんには安定期に入るまで言わない方がいいよね。大喜びしてそこら中に言いふらす可能性があるし…危険だ。
となれば、あっくんが寝たあとに話すしかないか。
うん、それで決まり。