「そういえばこれ今日履いてたパンツ。あげる」

「…はい?生憎そういう趣味はございませんが」

「そうじゃなくて縫ってくれる?なんかスースーすると思ったらお尻のとこ破れてたんだよね」

「うわ、マジでパックリいってんじゃん。ここまでなってんのに脱ぐまで気付かないとかヤバイな?」

「なんで破れたんだろー。今日銭湯行ってたらと思うとゾッとするよねー」

「…」



そう言うわりに、いい笑顔。

銭湯行って笑われたって、きっとお尻丸出しのまま一緒になって笑っちゃうんだろうなー。そういう男だよ、こいつは。

ポジティブなアホだからね。そこがいいところでもあるんだけど。




面倒なことは先に済ませておこうと、お風呂に入る前に大穴のあいたパンツを繕うことにした。

チクチクと縫い物をする私の隣でヨッシーは呑気にチョコレートを頬張ってる。

やれやれ、これじゃあまるで…




「ユメっちって僕と同い年なのに、なんかお母さんっぽいよね」

「はぁ?誰がオバさんくさいって?」

「え?オバさんだなんて言ってないよ。しっかり者だって褒めてるんだよ」

「私がしっかりしないとうちの家庭ヤバイでしょ」




だって夫婦揃ってアホなんて笑えないじゃん。

二人してパンツに穴あけるわけにいかないでしょ?

手のかかる旦那を持つと苦労するよ、ほんと。