そう思い寝たふりをした。
「寝たー?」
あえて答えないでいると、
「そういえばさ、お前チビだな。今日改めて思った。」
何それ。バカにしてる?
「チビで悪かったね。」
つい言葉を発してしまった。
「やっぱ起きてんじゃん。」
バレてしまった。
「チビって言うな。」
「怒るなって。俺、ちっさい子好きだよ。」
「子供と一緒にしないでくれる?」
「違うって。俺おまえのこと好きだよ。」
え?今なんて言った?驚いてブランケットから顔を出す。顔から火が出そうなくらい熱いのがよくわかる。
「喋りやすいし面白いし。」
あ、そういう意味か。まあそりゃそうだよね。大学生がこんなお子ちゃまな高校生に興味出るわけないし。
「ありがと。」
「おまえは俺の中で特別なんだ。」
「え?」
「こんなに一緒にいて楽しいやつは、哲平とおまえくらいかな。年下じゃおまえだけだよ?いい友達だと思ってる。」
りくが私のことを友達としか見てないという現実を突きつけられ、りくから目を逸らしてブランケットを深くかぶる。涙が出そうになるのを必死に堪えて、地味に失恋した自分を必死に慰める。最悪。残酷だ。曲のボリュームを少し上げると堪えていた涙が少しずつ溢れ出す。
しばらくして家の近くのコンビニに着いた。
「着いたよ。」
「ありがとう。」
「気をつけて帰れよ。じゃあな。」
「うん。」
泣いたせいで赤くなっている目を見られないようりくの方を見ないように車から降りた。
今日は振り返らずに帰ろう。
「帰ったらLINEしろよ。」
りくの声が聞こえたと同時に車のドアを閉め、聞こえていないふりをした。
そのまま背を向けて歩き出すとまた少しずつ涙が溢れた。後ろから足音が聞こえ、咄嗟に早歩きをすると
「おまえなんで泣いてんの?」
右腕を勢い良く引かれ、体がりくの方を向いた。
「俺なんかした?」
少し焦ったように眉を下げて私を見つけるりくの瞳は少し揺れている。