そんな私を見てりくはそう言った。
「ごめんなさい。」
素直にそう言った。
嫌われたくない。初めてそう思った。
「ん。まあ呼び捨てでも別にいいんだけどね。」
そう言って軽く笑ったりくを見て、顔が熱くなっていくのが自分でもわかる。そんな自分を誤魔化すために、
「じゃありくって呼ぶ。」
と言い俯いた。
「ん。」
そう短い返事が降ってくると、頭をポンポンと二回軽く触られた。もうそれだけで、私がりくを好きになるのには十分だった。
家の近くにあるコンビニまでの道を教えると車を走らせる。運転しているりくの横顔を眺めていると、「見んな。」と素っ気なく言われてしまった。無視して見続けていると、
「あーもう。」
と言いながら片手で頭をくしゃくしゃ掻くりくの耳が少し赤くなっているように見えるのは気のせいだろうか。
まだ19時なのに外はもう暗くて、街灯が照らす道の上をりくと私を乗せた車が走る。
帰りたくない。もっと一緒にいたい。
なんて、バカみたいな思いがよぎる。
そんな思いを振り払うように頭を少し振り、スマホを取り出すと、杏奈からLINEが来ていた。
" みか!あの後どうなった?!"
" 家まで送ってもらってる "
" そっか!私、哲平っていう人とLINE交換したよ!✌🏻"
やっぱり、杏奈は哲平狙いだったんだ。哲平、チャラそうだけど大丈夫かな。