「みか〜」
まただ。
「今日の合コン、1人足りなくてさあ」
もうこれで何回目だろう。
なんで毎回1人だけ足りないの?という、ぶつけても仕方無い疑問を抱くのも、
「お願い!ただ座ってるだけでいいの!ねえ、来てくれない?お願い!」
目を瞑って手を合わせてお願いしてくる杏奈の姿を見るのも、
「ダメ〜??」
首を傾げて可愛らしい声を聞くのも、何回目だろう。
「うん、いいよ」
このセリフ、何回言ったかな。
「やった!!ありがとう〜本当にありがとう、みか」
そう言ってはしゃぐ杏奈を見ながら窓の外を眺める。
「ねえ、今からあたしの家でメイクしよ!早めの準備が大切でしょ?」
そう言うと立ち上がって私の手を引いてレジに向かう杏奈の後ろ姿を見ながら、合コン中止にならないかななんて、杏奈に言ったら怒られそうなことを考える。
お会計を済ませて外に出ると、少し肌寒くてもうすぐ冬が来るんだと実感する。