「今日はさ、二人で楽しもうよ。あっちのことは考えないで」
美織はそのまま歩き出した。
俺もそれについていく。
「どこに行くんだよ」
「それはシークレット」
またあのスマイル。今度は何も聞くなっていう牽制のようにも感じる。
「あのさ、単純な疑問なんだけど、何であいつら二人っきりにしようとか思わなかったわけ?」
お前ら、蓮のことすっげーお節介焼いてたんだろ?
遠目で見ても、当事者じゃないクラスメイトでも分かりきってたぞ。あのメンバーがなんかしてるって。
そこまでするなら徹底的にするもんじゃないのか。
俺の友達の彼女と二人で抜け出すとか言ってたし、小雪ちゃんあたりそういうのさせそうでしょ。
「二人っきりだとあのふたり、何するか分からないでしょ。特にハイテンションの蓮は」
あー、それは分かるかも。
街のど真ん中であのテンションだと目立ちまくるし、先生に見つかったらうまく言い訳できるわけないもんな。
愛華も今は周りのこと全然見えてないように思うし。
逆に邪魔者の俺がいなくてよかったかもしれない。