「ごめん、手荒な真似して。あそこにいるの辛いでしょ。特に蓮」


まあ、そうだけど。しんどくて死にたいレベルだったけど。


止まって息を整えてるうちに今自分が置かれている状況を確認しておく。


あいつらと離れたってこと?あのくっそラブラブ~な空気から連れ出したってこと?




美織はそれでもにこって笑うしかしない。

その完璧なスマイルはどこか怖いんだけど逆に。




俺は美織をめちゃくちゃに傷つけた。

純粋で真面目で俺とは正反対の世界にいる女の子。


二度と顔を合わせないと思ってたのに。



俺のこと殺したいぐらいに恨んでいるんだろ、どうせ。



だけどにこっと口角だけ上げて……怖い。

このスマイルのまま後ろのリュックからナイフが出てきそう。



つまりそんな発想してしまうくらい俺の心は参ってるわけで、美織といるのも蓮と愛華ほどではないけれどしんどい。