中学の入学式。
楽しみすぎて廊下スキップしてたら、だぼだぼの学ランの裾を踏んで盛大にこけてしまった。
ついでにカバンの中の荷物もばらまいてしまうという悲惨な事態に。
さすがの僕でも恥ずかしい。
白い目で見られてクスクスと笑う声が聞こえる。
みじめだ。
「はい、これ」
顔を上げたその瞬間、天使ってこの世にいるんだなって思った。
周りと一緒になって笑いものにするんじゃなくて、淡々と当たり前の行動していますって感じ。
「ありがとう!」
「いえいえ」
軽く微笑んでその子は去っていった。
セーラー服のスカートがひらりと回ってベリーの香りがした。
初恋の味はレモンだとか言うけれど、僕が感じたのはベリーだった。