これは完全なる遠慮。
なのに傷つくとか……嬉しいような複雑な気分。
「だったら送られてよ」
「…………っ、うん、ありがとう……」
ニコッと微笑まれれば、もうあたしに拒否権なんてない。
駅までの道のりは、住宅街の間をぬっていくから人通りはほとんどなく静か。
カラカラカラ……と、車輪が回転する音と、靴音が響く。
あたしは、じーっと怜央くんをの様子を窺ってしまう。
だって……。
「え、なに?」
その視線に気づいた怜央くんは、怪訝そうに言うけど。
「えっと……乗るんじゃ……ないの……?」
いつ『乗れよ』って言われるかと待っているのに、全然声がかからない。
駅まで送るって、そういうことじゃないの?
始業式の日に乗せてくれた荷台に。