「いっ、いいよ!だって逆方向だもん」


「いーよ」



断ったあたしに返ってきた返事はとても軽いもの。


風に髪をなびかせながらさらっと。


街頭に照らされた怜央くんの横顔はいつも通り涼しげで、へとへとなあたしと違い余裕がある。



「本当にいいよ。暗いっていっても街頭もあるし。うん、だから本当にいいっ!」



だからって、疲れてないわけじゃない。


あたしより力仕事して、走って。

「あっちお願い!」とか「こっち来て!」など、みんなに頼られていた怜央くんの疲れは半端ないはず。



「……そんなに拒否られると、地味に傷つく」



ボソッと放つ怜央くんの言葉に、キュッと胸が狭くなる。



「……っ、ごめん……。いやとかそういうんじゃなくて……」