体育祭前日の準備は総仕上げ。
テントの設営、用具の準備、ライン引きなど……外の作業が多く、すでに体育祭が終わったかのように疲れ果ててしまった。
作業が終わったのは7時近く。とっぷり日も暮れていた。
「お疲れさまー」
「また明日ね~」
すっかり仲良くなった委員のみんなに声を掛けながら、自転車を押す怜央くんと並んで校門を出た。
「今日はひときわ疲れたね」
怜央くんは学校を出て一本目の角を曲がってしまうから、いつもすぐに別れなければならない。
同じ方面なら、長く一緒に居られたのに。
そう思うと、少し残念。
「だな。もう暗いから駅まで送るよ」
「え?なに?」
聞き間違いかと、思わず聞き返す。
「あー、だから、遅いから駅まで送るよ」
本当に!?
思わぬ言葉に胸が高鳴るけど。