あたしが怜央くんに別れを告げて、そのあとはすべて元通りになって、怜央くんも今までの生活を取り戻す。
それが、あたしが願い選んだ未来。
あんなに優しくて、誰からも好かれている彼が。
怜央くんが、死んだなんて許されるわけない。
なら、あたしはなんのためにっ………。
「相馬怜央は、自分の身を呈しても君を守りたかった。それほど、君が好きだったってことだ」
彼の言葉が痛いほど胸に突き刺さる。
もう、嘘だなんて言う気力もなかった。
「……れ、おっ……くんっ……」
制服の胸元をぎゅっと握りながら、あたしは床に崩れ落ちた。
両目からは、大粒の涙が零れる。
あとからあとからとめどなく。
「君の選択で、相馬怜央は幸せになった?」
なったよ。
なったって思いたかった。
でもそうじゃなかったって、一番わかっているのはこのあたしだ。